手元に置く思い出
さっき、髙野寫眞舘さんから赤煉瓦の写真が送られてきました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=829120863868147&set=pcb.829122580534642&type=3&theater
これは、糸魚川駅のアルプス口の大きな目印になっている赤煉瓦の三連アーチが、かつて「赤レンガ車庫」として駅の南側にあった頃の煉瓦の一部。活用のために保存された部材のうち、今の新駅に使われなかったものをこのまま朽ちさせてしまうよりは、大切にしてくれるひとのところにもらわれていってほしいということで、10/3-4の街なかコレクションのとき、旧髙野寫眞舘の「街なかレトロギャラリー」でシリアルナンバーを入れて100個販売するとのことでした。
僕は、赤レンガ車庫のことは「記憶遺産」だったと思っています。当時は駅の現役の施設だったのだから、駅で働くひとたち以外にとっては縁もゆかりもない建物。ただただ「そこにある」ことを視界の端っこで無意識に感じていただけ。
でも、たとえば故郷を離れたひとがときどき戻ってきた時、駅に降り立って「ああ、帰ってきたなあ」と感じる要素のひとつでは、きっとあった。通りかかるといつもあって、あってもなんのトクにもならないけれど、ないとなんだか妙な喪失感がある。そんな存在がまちの中にはいくつもいくつもあって、そういったものの積み重ねが「ぼくのまち」という実感を作り出しているのだと思う。
すべての古いものを残しておくわけにはいかない以上、そういった存在の中にはなくなってしまうもの、壊してしまうものも当然出てきます。そんな時、それでも自分の中の思い出と「それ」を、細い糸ででもつないでおくことができるなら。
たぶん、この煉瓦はコレクションとしての(金銭的)価値は出ないものだと思う。それだけに、あそこにあれがあったことを今でも思い出のひとつのかけらとして大切にしてくれているひとのところで、大切にしてもらえるといいなと思うのです。
そんなわけで、10/3-4の街なかコレクション。おでかけの際はぜひ、街なかレトロギャラリーものぞいてやってください。
http://adclique.com/machisg/archives/3020
(館内では「紅梅文庫展」もやってます)。
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