館長、お疲れさまでした
糸魚川市民会館の名物館長、前田氏が酔っ払うといつも熱く語っていたのは「ホールが一杯になるような芸能人呼んできてたくさんの人を動員しました。それだけでいいのかい?」ということ。一夜の喧噪のあと、またまちが元に戻ってしまう、そんな買ってきて見せるだけのものではなく、たとえ満員にならなくてもそれが町のどこかに火をつけ、そこから少しずつでもひとが変わるようなことをやりたい。それが彼の信念だったのだと思います。
日曜日の第五回目の「ひすいスプリングコンサート」に出た弦楽アンサンブルも、そう。最初に「会館にバイオリンやビオラを習いに来ませんか?」と募集が出た時、あつまったひとたちに「ここで習って音大に行きたいって言われると困るんだけどね」と言っていたのも思い出します。日々の仕事や学校でがんばる市民が、趣味の一つとして、バンドをやったり、写真を撮ったり絵を描いたり。そういうアプローチのひとつとして、たとえば「市民オーケストラ」なんてことができたら、きっと素敵だ。そんな願いが込められた弦楽アンサンブルは、小学校あがりたてから還暦近くまでのひとが集うなかなか不思議で楽しい集まりになりつつあります。
宮島春彦さん他を迎えての、長い長い時間をかけて仕込む芝居も、そう。
彼の仕事は、間違いなくいろんな火をつけたのだと思います。
今朝、新聞のこの春の異動一覧を見て、退職者の欄にお名前を見つけてなんだかさみしくなりました。本当にお疲れさまでした。
というわけで、写真は日曜日のコンサート、館長を囲んでの出演者の集合写真なのです。
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