一樽
あちらこちらで大根がかけられるようになってきました。
畑から抜いた大根を洗い、数本でしばり、家の裏にたてかけたはさにどんどんかけていく流れ作業。そして、翌々週あたりの日曜は、それを下ろして車庫の中でみんなで車座になって揉んでいき、最後に祖母がでっかい樽に漬けていく。それが、僕が小学校の頃の今くらいの季節の風物詩。タクアンを漬け、遠くの親戚に送る餅をちょっとはやめにつき、その次はたくさん餅をついて鏡餅をこしらえ・・・と、年越しのためにやることがたくさんあって、それを一つ一つ片付けていくうちに「あぁ、もうじき正月だなあ」という気持ちが盛り上がってきた。そんな年末でした。
当時は日本テレビ系のテレビ局がなかったせいで、年末に四日連続で夕方放送されていた「アメリカ横断ウルトラクイズ」を見たりするのも、年の瀬感があったなあ。
そういう行事はだんだんと小規模になっていき、ご近所でこんなふうに大根を干しているところも、ちっちゃい樽一個分くらいの量のところがほとんど。そういえば、農協のひとが「越冬野菜」の注文に来ることもなくなったような気がします。
そんなこんなで、秋だ、冬だと言っているうちに、もう年末が見えて来ちゃった。年の瀬感はないのだけれど、仕事をやっつけなきゃという切迫感はある。それが、40代なかばの、年の瀬感なんだろうなあ。そんなことを思いながら。
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