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2006年12月 6日 (水)

午前3時の月

Img_7289  尾崎豊がずいぶんともてはやされたあとに、彼のフォロワーとでも言うべき人たちが何人も現れました。自虐的なまでの言葉で、他人に戦いを挑むように自分へ斬りつける「失格」が、なぜかもてはやされてしまった橘いずみのような人たちもいましたが、僕は、静かに、一人思い悩みながらも、ティーンエイジだからこその気負いをそのままに歌を出してきた、相沢友子という人に惹かれました。「午前3時の月」というのは、彼女の1枚目のアルバムの、1曲目の曲です。

 結局のところ、彼女はヴォーカリストとしてはそれほど成功せず、でもいつのまにか、ちょこっと女優めいたことをしたあとに、結構売れっ子の脚本家になっています。最近では、映画「大停電の夜に」の共同脚本などでも話題になっていました。

 思い返せば、プロデューサーが「どういう形だと売れるのか」ということを、色濃く押し出した、あの曲たちだったのかもしれない。でも、全編通して「君」と語りかける口調で、静かに、しかし自虐的に綴られる歌たちに見え隠れする、どうしようもないティーンエイジというものに、僕は今になって、あらためて惹かれてしまう。それは、辛いことなんかなにもわかっていなかったくせに、エラそうに世間のことを論評してみせた青臭さであったり、達観であったり。今思えば、それらはみんな、自分が幼すぎて、気づかなかっただけなのだけれど。そして、そういう、妙にエラそうで、将来に期待し、それと同じくらいあきらめて達観していた、あのころの自分の、ウラ恥ずかしさに、どこか重なる、そんな、共犯者意識なのかもしれません。

 あらためて、深夜の仕事を終えて、1枚の月の写真を撮る。いろんなものに見える、この表面の影。これが、ウサギの餅つきに見えるのは、脳天気なのではなくて、案外と、辛いことをたくさん知った大人の、懐の深さだったのかもしれないな、などと思いながら。

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