ほんとうに、いいのかな?
新鉄のあたりから駅の方を見ると、線路沿いにずうっと空き地が広がった先に、ぽつんと、赤レンガ作りの車庫があります。住宅移転がどんどんとすすみ、町に定規で線をひいたように、細長い空き地ができてきて、あぁ、新幹線ももうすぐなんだなぁと、あらためて感じる場所のひとつです。
このレンガ車庫、相当に古く、大正のはじめのもの。当時欧風のレンガ造りは最先端をゆく流行で、同時期に建てられた東京駅など、他にも赤レンガ作りの歴史的構造物はたくさんあります。
さて、話は、このレンガ車庫のこと。
この「細長い空き地」の向こうに見えるということは、即ち、新幹線開通までに、空き地にする必要がある場所に建っているということでもあり、取り壊されることになります。
正直なところ、何十億円もの税金を使って、古い建物は全てのこさなければいけないとは、僕は思いません。すべての「古いもの」には、誰かしらの思い入れがあり、他の人にとってはゴミや廃墟であったとしてもなお、その人にとっては意味がある。でも、そういうものをすべて残していたら、生きていくことはできませんから。
ただ、なにを残して、なにを残念だけれど見送るのか。それをきちんと考えて、決めたいという思いは、やはりあるのです。
レンガ車庫の保存活動は、細々と続けられています。一時期はずいぶんとたくさんの署名も集まり、市への保存の陳情がおこなわれました。保存活動を求める請願は、市議会で採択され、形式上は、保存のための努力というのは、「民意」として承認されたことにさえなっています。
しかし、実際のところ、「なんとか残したい」という当局の七転八倒の動きは、全然見えてきません。多くの人に対して、残したいかどうか尋ねたわけでもなければ、新幹線を作る人たちに対して、この建物を残した形での建設をしたいけどなにか策はないかと尋ねた様子もない。
正直なところ、他に優先課題がたくさんあることはわかります。お金をつかいたい事業は、もっとたくさん他にある。でも、だからといって、「なにもしない」(にひとしい状態の)まま、ただ時間切れを待つような形って、ほんとうにいいのかな?。そう思うのです。
これは、ものすごく素朴な疑問なのです。
みんなにとって大事な、その町の財産がある。これを処分するときに、みんなが「いいよ」って言ったつもりがないのに、いつのまにか、処分が決まったことになっている。そういう方法そのものへの「いいのかな?」。
今まで何度となく、そういうことってごくごく普通に繰り返されてきたけれど、それじゃ、僕等はこの町にとって、ただの「お客さん」でしかない。
そういうことについても、思うのです。「ほんとうに、いいのかな?」。
とりあえず、自分のこととして、きちんと考えてみたい。
その機会として、今週の土曜日に「赤れんがフォーラム」がヒスイ王国館で開催されます。おなじようなことが進行中の柏崎との同時開催。
もしよろしければ、お出かけください。
詳しくは、 http://www.e-hisui.com まで。
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